木・山・木造について広い視野にたち実地で学ぶことができる場として
1998年に川上村木匠塾は始まりました。
木・山・木造について広い視野に立ち実地に学ぶことができる場として、1991年に岐阜県高根村から「木匠塾(もくしょうじゅく)」は始まりました。川上村木匠塾は1998年から開塾し、現在は大阪芸術大学、大阪工業大学、近畿大学、滋賀県立大学、奈良女子大学の5大学から毎年約70名の学生が参加し、20年間で累計で約1,400名もの学生が参加した教育プログラムです。
川上村木匠塾は、村役場や地域の方々のお力添えを得て、村の活性化に関わっています。また、間伐やメインテナンスを含めた長期に渡る創作活動は塾生にとって、非常に貴重な経験となっています。
▼ 2019年現在
22年目 | |
1437名 | |
大阪芸術大学 / 大阪工業大学 近畿大学 / 滋賀県立大学 / 奈良女子大学 |
塾長:大阪工業大学建築学部教授 寺地洋之(2012年~)
支援:(社)国土緑化推進機構・建築フォーラム(1998年~)
制作物は基本的に間伐材を使用します。川上村木匠塾は、間伐材を中心に利用することから「丸太」による制作の試行錯誤の経過ともいえます。当初は番線で留める仮設的なものからスタートし、2000年ごろから丸太の接合方法の試行が始まりました。2003年ごろから村の公共的な建築物の補修なども行うようになり、2004年ごろから白川渡キャンプ場のフォリー、通称「木匠ベルト」や遊歩道ベンチなど、中長期のビジョンを視野に入れた制作物が求められるようになりました。また近年はバス停や役場前モニュメントなど公共的な制作物も増えてきています。また2009年ごろから、傷んだ制作物のメインテナンスや更新も行う事になり、さらに持続的な活動へとシフトしだしています。
川上村は奈良県南東部に位置し、大台ヶ原山の北西側に位置します。西側に大峰山脈、東側に台高山脈が連なり、吉野川(紀の川)の源流域にあたる、耕地がほとんどない山岳地帯です。川上村は古くから林業が盛んで、吉野林業の中心地として知られています。村面積約27,000ha(県面積の約7%)に対し、森面積は約25,600haで村のほとんどを豊かな森林が占めています。
吉野林業の特徴として植栽本数が1ha当たり8,000-10,000本という超密植が挙げられます。間伐を多く繰り返し長伐期とすることで、年輪幅が狭く、完満直通、無節、色目の良さなど吉野杉は高く評価されてきました。また吉野林業の歴史は古く室町時代末期(1500年頃)に造林が川上村で行われた記録があります。明治以降も造林面積は増加し戦後の木材ブーム時には隆盛を極めましたが、近年吉野材の価格は低迷し、また後継者不足などから大きな岐路に立たされています。
日本全国の林業産地が経営や後継者不足で厳しい状況に立たされているなか川上村も例外ではなく、昭和55年には4151名を数えた人口も、平成2年には3093名、現在は1462名(2018年1月現在)となっています。